
コラム
外国人雇用の労務管理は外国人専用の知識のある社会保険労務士へ
外国人の労務管理には社会保険労務士が専門とする労働及び社会保険に関する諸法令の他に出入国管理及び難民認定法の知識が必要となります。
外国人の労務管理には外国人雇用の知識がある社会保険労務士へご相談ください。
1.助成金の活用
外国人雇用にも助成金の適用があります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対しての助成金。
トライアル雇用助成金
職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して助成することにより、求職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的とした助成金。
キャリアアップ助成金
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対しての助成金。
2.外国人材定着のためのアドバイス
定着のためのご提案を行うことができます。
対応例
・就業規則の重要部分を抜粋し「やさしい日本語」で会社のルールブックを作成する
・就業前に家庭訪問や会社案内などを行い丁寧なフォローアップを行う
・私生活上のサポートを行う
3.雇用契約書
外国人との雇用契約書には注意点があります。
・実際に行う業務内容と雇用契約書上の業務内容は一致しているか
・業務内容が在留資格の範囲内か
・雇用契約の期間は在留期間内か
・在留資格をこれから取得する場合は「停止条件付雇用契約」にする
・外国人労働者も日本人労働者と同じく労働基準法が適用
4.入管法違反のリスク
入管法には罰則規定があります。
不法就労
国外強制退去(ただし、不法残留者で懲役刑等がなく自ら出頭した場合は出国命令の場合有)
不法就労助長罪
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
無許可資格外活動
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
在留資格取消制度
国外強制退去など
5.脱退一時金(国民年金・厚生年金)
脱退一時金とは日本国籍を有しない方が国民年金、厚生年金保険の被保険者資格を喪失して日本を出国した場合に請求することができる一時金。
脱退一時金の要件
・日本国籍を有していない
・日本国内に住所を有しない
・国民年金又は厚生年金保険の被保険者ではない
・国民年金又は厚生年金保険の加入期間の合計が6か月以上
・老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない
・障害厚生年金の受給権がない
最後に厚生年金保険又は国民年金の被保険者資格の喪失した日から2年以上経過していない
6. 社会保障協定
日本人労働者又は外国人労働者が自国以外で働く場合に同時に2か国で年金保険料を支払うことがないように年金制度を確保できるよう両国での加入期間を通算できる制度。
社会保障協定発行済み国
ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルグ
フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア
※英国、韓国、中国、イタリアは「保険料の二重負担防止」のみ
(2025年5月現在)